令和3年度税制改正の中から、
「納税管理人制度の拡充」についてお話します。
日本国内の会社に勤めている給与所得者が、
1年以上の予定で海外の支店などに勤務すると、一般的には日本国内に住所を有しない者と推定され、所得税法上の非居住者となります。
非居住者であっても、日本国内で発生した一定の所得に対しては引き続き日本の所得税が課税されるため、確定申告をしなければならない場合があります。
この場合、非居住者の確定申告書の提出や納税など税務上の義務を果たすために納税管理人を定めなければなりません。
納税管理人を定めたときには、所轄税務署長に「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出する必要があります。
令和3年度税制改正では、納税管理人を定めるべき納税者が納税管理人を定めるための届出をしなかったときについて次の措置が講じられました。
(1)納税者に対する納税管理人の届出をすべきことの求め納税管理人を定めるべき納税者が納税管理人の届出をしなかったとき、所轄税務署長等はその納税者に対し、納税管理人に処理させる必要があると認められる事項(以下「特定事項」という。)を明示して、60日を超えない範囲内においてその準備に通常要する日数を勘案して定める日(以下「指定日」という。)までに納税管理人の届出をすべきことを求めることができることとします。
(2)国内便宜者に対する納税者の納税管理人となることの求め納税管理人を定めるべき納税者が納税管理人の届出をしなかったとき、所轄税務署長等は特定事項の処理につき便宜を有する者(国内に住所又は居所を有する者に限る。以下「国内便宜者」という。)に対し、その納税者の納税管理人となることを求めることができることとします。
(3)税務当局による特定納税管理人の指定
所轄税務署長等は、上記(1)の求めを受けた納税者(以下「特定納税者」という。)が、
指定日までに納税管理人の届出をしなかったときは、上記(2)により納税管理人となることを求めた国内便宜者のうち一定の国内関連者を、特定事項を処理させる納税管理人(以下「特定納税管理人」(注)という。)として指定することができます。
なお、特定納税管理人の指定については、特定納税者及び特定納税管理人に対して書面により通知を行い、これらの者による不服申立て又は訴訟を可能とするほか、所要の措置を講じます。
(注)「一定の国内関連者」
次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める者をいいます。
1. 特定納税者が個人である場合
イ) その特定納税者と生計を一にする配偶者その他の親族で成年に達した者
ロ) その特定納税者の国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実についてその特定納税者との間の契約により密接な関係を有する者
ハ) 電子情報処理組織を使用して行われる取引その他の取引をその特定納税者が継続的に行う場を提供する事業者
2. 特定納税者が法人である場合
イ) その特定納税者との間にいずれか一方の法人が他方の法人の発行済株式等の50%以上を保有する関係
その他の特殊の関係のある法人
ロ) その特定納税者の役員又はその役員と生計を一にする配偶者
その他の親族で成年に達した者
ハ) 上記1.ロ又はハに掲げる者
上記の改正は、令和4年1月1日以後に行う上記(1)から(3)までの求めについて適用されます。
▼詳細については下記のウェブサイト等をご覧ください。
・自民党 「令和3年度 税制改正大綱」
http://c1c.jp/1882/ERMcnz/121
※「納税管理人制度の拡充」については大綱121頁から記載があります。
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