新型コロナウイルス感染症の影響に関連して国などから支給される助成金等の税務上の取り扱いについてご紹介します。
今回は、法人における雇用調整助成金と持続化給付金の益金計上時期について確認します。
まず、法人税法における収益を益金に計上すべき時期についての基本的な考え方を確認しましょう。
法人税法では、収益の認識について一般的な規定を明文で定めていませんが、原則として収入すべき権利が確定したときの属する年度の益金に計上すべきと解されており、具体的な益金計上時期や例外的な取扱いは法人税基本通達などで規定されています。
給付金等の益金計上については、法人税基本通達の規定があります。基本通達2-1-42では、経費を補填するために法律に基づき交付された給付金等は、「その給付の原因となった休業、就業、職業訓練等の事実があった日の属する事業年度終了の日においてその交付を受けるべき金額が具体的に確定していない場合であっても、その金額を見積り、当該事業年度の益金の額に算入するものとする」と規定されています。
経費補填の場合、経費を先行して計上しているため、収益と費用を対応させるために、給付金等の未収計上が必要という考え方によります。
それでは、法人税法上の取扱いを確認したところで、雇用調整助成金と持続化給付金の益金計上時期について確認しましょう。
●雇用調整助成金の益金計上時期
雇用調整助成金は、従業員に休業手当等を支払う場合に、
その一部を助成するために支給されるものです。
賃金(経費)の補填を受けるものであることから、
上記法人税基本通達2-1-42に規定されている給付金等に該当し、
確定通知前であっても金額を見積もり、未収計上する必要があります。
●持続化給付金の益金計上時期
持続化給付金は、極めて厳しい経営環境にある事業者の事業継続を支援するため、
使途に制約のない資金を給付するものです。
経費の補填を受けるものではないため、
給付金の交付を受ける権利が確定したときである
入金日と給付通知日のいずれか早い日に益金に計上します。
助成金等によっては、申請から給付までの期間があり、年度をまたぐ場合もあるかと思います。雇用調整助成金だけではなく申請中の経費補填の助成金がある場合は未収計上漏れがないようご注意ください。
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